デジタルサイネージは効果測定ができるのか?測定の方法から流れまで詳細解説
更新日:2024.04.13
デジタルサイネージを設置した後に、その広告効果がどれほどであるのか測定することは重要です。設置したことで得られた効果を把握し、次回以降のマーケティング戦略に活かす必要があります。
しかし、実際にデジタルサイネージの効果測定をしようと思っても、どのように進めていけばよいのかわからない方も多いのではないでしょうか。正しい測定方法を理解し、実践することが肝要です。
今回は、デジタルサイネージの効果測定の流れについて解説します。また、測定に必要な項目や測定結果のマーケティングへの活用方法および実際の事例についても紹介します。
今回の記事を参考にして、デジタルサイネージを最大限に活用する方法について理解を深めてください。
※本記事は、2024年4月13日に調査した時点での情報を掲載しています。閲覧の時期によっては情報に誤りがある可能性があるため、ご留意ください。
目次
デジタルサイネージ広告の効果測定は可能か
デジタルサイネージは、顔認証システムの導入により効果測定が可能です。IPカメラやWebカメラを設置し、デジタルサイネージを閲覧している人の年齢や性別などの情報を収集します。
効果測定ができるデジタルサイネージをどの商品にするか決めるのが難しい場合は、専門業者への相談がおすすめです。
デジタルサイネージ広告を効果測定する流れ
デジタルサイネージ広告の効果測定をしたい場合は、まず基本的な流れをしっかりとつかみましょう。正しい手順を経て、効果的な測定結果を得るのが大切です。
デジタルサイネージ広告を効果測定する基本的な流れは、以下の4工程です。
- 目的を明確化
- スケジュールや設置場所の確認
- コンテンツを作成して運用開始
- 小まめな効果測定と改善
以下で順を追って解説するので、デジタルサイネージ導入後の効果測定作業に活かしてください。
目的を明確化
効果測定を開始する前に、デジタルサイネージを設置する目的を明確化する工程が欠かせません。デジタルサイネージの広告内容を届けたい年齢や性別を特定するターゲティングが重要です。
デジタルサイネージによる目的を明確に定めることにより、測定結果と想定した効果との差異がどれほどか判断できます。最初に目的やターゲットを定めないと、測定結果を判断する基準がありません。
デジタルサイネージの導入には、広告宣伝する商品やサービス自体がターゲットとしている層の明確化も欠かせません。測定実施の前に、前提条件としての目的を明確化しましょう。
スケジュールや設置場所の確認
デジタルサイネージを設置する日程などのスケジュールと、設置場所を確認しましょう。いつの季節にどのような広告を発信するのか検討する必要があります。
同様に、デジタルサイネージを設置する場所も重要です。若年層向けの商品やサービスを宣伝する場合は、繁華街など人の往来が多い場所への設置を検討するとよいでしょう。
1つの場所に設置したデジタルサイネージにおいても、時間によって発信する内容を検討することが大切です。デジタルサイネージの広告効果を高めるためには、1日の中でどの時間帯にどの広告を配信するのかが重要なポイントとなります。
コンテンツを作成して運用開始
目的やターゲットを決めてスケジュールや設置場所を決定した後は、配信するコンテンツを作成します。目的やスケジュールに合ったコンテンツを作成することが重要です。
作成したコンテンツを、スケジュールに則って配信します。最初に定めたスケジュールは、途中で変更せずに一定期間継続して実施しましょう。正しい効果測定の結果を得るためには、当初定めた期間を継続する必要があります。
コンテンツの配信を開始したら、漏れなく効果測定を実施しましょう。運用をおこなっている期間で同時に効果測定を実施して、正しい結果を得る必要があります。
小まめな効果測定と改善
デジタルサイネージの効果測定は、広告発信の都度こまめに実施するのが原則です。効果測定の結果を多く収集することにより、結果の信頼性が高くなります。
効果測定をした結果を踏まえて、マーケティング戦略の改善を検討しましょう。想定したターゲット層の閲覧が十分でなかった場合、どこに問題があったのかを検証して次の戦略に活かします。
広告を発信する時間帯を変更したり、デジタルサイネージの設置場所の再検討をしたりして、より高い効果が得られる広告配信を目指します。場合によってはコンテンツ自体の修正や作り直しを検討する必要が生じる場合もあるでしょう。
デジタルサイネージの効果測定に必要な4項目
デジタルサイネージの効果測定を実施する際には、集計する項目を決めておく必要があります。効果測定はさまざまな集計が可能ですが、主に確認するべき項目を絞って集計するのが一般的です。
デジタルサイネージの効果測定で必要となる項目として、主なものを以下に4例紹介します。
- 年齢と性別
- 累計視聴数と視聴時間
- 通行人数と滞在人数
- 広告を見た人の行動
いずれも基本となる調査項目であるため、漏れなく取り組みましょう。
年齢と性別
デジタルサイネージを閲覧した人の年齢と性別に関しては、確実に集計しましょう。コンテンツの最適化のためには、年齢と性別は欠かせない要素といえます。
たとえば、若年層の女性向けコンテンツを配信したつもりが、閲覧者にほとんど若い女性がいなかった場合、戦略を見直す必要があると判断するべきです。
単に効果測定の結果のみに注目するのではなく、デジタルサイネージを設置した場所の通行人の属性の割合も事前に確認するほうがよいでしょう。ターゲットとしている属性の通行自体がそもそも少ない場所の場合は、戦略の練り直しが必要となります。
累計視聴数と視聴時間
配信しているデジタルサイネージが視聴された累計の視聴回数と視聴時間についても、確実に集計をおこないましょう。視聴回数と視聴時間は、配信したコンテンツにどれだけの効果があるのか検証するうえで重要な要素です。
配信したコンテンツを視聴した人数・回数・それぞれの視聴時間を確認し、今後の戦略を検討します。たとえば、視聴人数および回数が多いものの1回あたりの視聴時間が短い場合は、コンテンツの内容を充実させる必要があるのかもしれません。
視聴した人の視線が集まっている箇所やどのような表情で視聴しているのかも含めて効果測定をすると、より多くの判断材料とできるでしょう。
通行人数と滞在人数
デジタルサイネージの前の通行人数と、広告を閲覧するために滞在した人数も、集計する価値があります。同じ場所でも、時間帯によって通行人数や滞在人数に差があるため、時間ごとの集計をすると効果的です。
通行人が歩くスピードと歩く方向についても測定をするのがよいでしょう。スピードに変化がある場合はデジタルサイネージに興味を持ってもらえている可能性があります。また、歩く方向によって測定結果が異なる場合は、広告を見る方向からの印象の差を検討します。
測定結果を踏まえて、デジタルサイネージの明るさや向きを調整し、通行人にとって最も印象に残る発信の方法を検討しましょう。
広告を見た人の行動
デジタルサイネージで表示された広告を見た人が、どのような行動をとっているのかも測定しましょう。単に広告を見ているだけなのか、広告を見てから何らかのアクションを起こしているのかによって、広告の効果は大きく異なります。
デジタルサイネージを見た人が起こした行動を正しく測定するためには、設置したモニタごとに問い合わせ用の連絡先を変えるのが有効です。モニタごとにそれぞれ異なるQRコードを設置して、どこから視聴者がアクションを起こしたのか把握できるようにするのもよいでしょう。
広告を見て実際にアクションを起こした事例が多いものは、広告効果が高いと考えられます。問い合わせやホームページへのアクセスが多いデジタルサイネージを好例として、他の広告発信に活かすとよいでしょう。
デジタルサイネージ広告で効果測定したデータはAIで分析すると効率的
近年は、デジタルサイネージ広告の効果測定で得たデータをAIで分析する手法が広がってきています。
Webカメラなどで取得したデータを、これまでは人間の手と判断によりレポートとして構成するのが主流でした。しかし、近年は取得データから人の手を加えずに、AIによりレポート化が可能となっています。
たとえば、デジタルサイネージの効果測定で得た年齢や性別などの属性を、自動的にグラフにして見やすく表示することが可能です。効果測定で得るデータは膨大になるケースが多いため、人の手間を減らせる自動分析機能は役立ちます。
AI技術が導入され、デジタルサイネージの分析にも広く利用されています。この傾向は今後ますます進展していくと予想されるため、積極的に活用していくとよいでしょう。
デジタルサイネージ広告で効果測定したデータをマーケティングに活用
デジタルサイネージ広告の効果測定をして取得したデータは、今後のマーケティング戦略に活用します。次の戦略に活用してこそ、取得したデータには意義があるといえるでしょう。
データのマーケティング戦略への展開としては、以下のような点を考慮するのが一般的です。
- ターゲット層とマッチしているか
- 内容が適切か
最初に設定した目的やターゲットとの関連性を考慮し、十分な広告効果が上がっているかを検証するのが主たる目的です。広告の宣伝効果を最大限に高めるため、取得したデータを効率よく戦略展開に活用しましょう。
ターゲット層とマッチしているか
デジタルサイネージを視聴している人が、最初に設定したターゲット層とどれだけマッチしているかを確認しましょう。もしターゲット層と異なる属性の人が多く視聴していると判明した場合は、広告の戦略見直しを検討する必要があります。
具体的には、ターゲット層の視聴を増やすために配信時間の変更をおこなったり、デジタルサイネージの設置場所を変えたりする方法が挙げられます。そもそもターゲット層の設定に誤りがあったと判断される場合は、ターゲット層の見直しを検討する場合もあるでしょう。
ターゲットとする層にマッチする広告となるよう、データ収集と検証を繰り返し、より高い広告効果が得られる情報発信を目指す取り組みが大切です。
内容が適切か
デジタルサイネージで発信しているコンテンツの内容が適切か、十分検証しましょう。コンテンツの内容に問題があるため、ターゲット層へのアピールが十分できていない可能性があります。
たとえば、高齢者向けの商品やサービスの宣伝をおこなう場合は、画像の表示を遅くしたり文字の大きさやデザインを見やすいものに変えたりするのがよいでしょう。
高い広告効果を得るため、データ収集・検証・改修を繰り返してより良いコンテンツにブラッシュアップすることが大切です。
アドボックス(どこでもアド)に相談すれば、取得したデータを最大限に活用して、更なる集客につなげられます。広告内容の検証について不明点がある場合は、ぜひご相談ください。
デジタルサイネージ広告を適切に効果測定した事例
デジタルサイネージ広告の効果測定を適切におこなっている事例は、近年増えています。大手企業や公共交通機関など幅広い事業者が効果測定を実施し、マーケティングへの展開をする事例がみられるようになりました。
デジタルサイネージ広告の効果測定を実施する事例について、主なものを以下に3例紹介します。
- 大阪メトロ
- ファミリーマート
- 名古屋市交通局
実際におこなわれている効果測定の事例を参考に、ご自身に適した測定の手法を確立するために活かしてみてはいかがでしょうか。
大阪メトロ
Osaka Metroのグループ会社である大阪メトロサービスは、大阪の地下鉄に関連する幅広いサービスを提供する企業です。同社では、駅構内および電車内のデジタルサイネージを対象としたアイトラッキング調査を実施しています。
モニター40人を対象に、ウェアラブルアイトラッカーを装着してもらい、駅構内や電車内でのデジタルサイネージの視認情報を調査しました。その結果、以下のような調査結果が得られました。
- 視認率は87.9%と高くデジタルサイネージの視認効果の高さが立証できた
- 男性よりも女性のほうが視認率が高い
- 駅構内で進行方向に設置した広告の視認率は極めて高いものの、逆方向に設置したものや電車内のものは視認率にばらつきが見られた
最新のアイトラッキング技術を導入した調査として、今後の好例といえるでしょう。
ファミリーマート
大手小売経営のファミリーマートでも、デジタルサイネージの効果測定を実施した実績があります。コンビニ店舗内に設置したデジタルサイネージの視認効果について、全国100店舗で調査を実施しました。
同社では、デジタルサイネージに設置したAI機能付きカメラのデータや、来店者に対し実施したアンケートを分析した結果をまとめました。レジ上のモニタは50%程度の視認率であったのに対し、イートインスペースや陳列棚に設置した広告の視認率の低さが顕著でした。
以上は、小売店などの現場におけるデジタルサイネージ導入において貴重な調査結果といえるでしょう。
名古屋市交通局
名古屋市交通局でも、デジタルサイネージの導入および効果測定を積極的におこなっています。近年導入を開始したデジタルサイネージは、駅構内や電車内での活用拡大をおこない、合わせて効果測定調査を推進しています。
たとえば、名古屋駅や栄駅に設置したスクエアビジョンの視認情報を調査するため、AIカメラを導入しました。車内デジタルサイネージの設置も順次増やしており、将来的には視認性調査の技術の導入もおこなうと予想されます。
以上の名古屋市交通局のデジタルサイネージ広告への取り組みは、同局内だけでなく全国的に拡大していくものと考えられます。
まとめ
デジタルサイネージの効果測定は、顔認証など最新技術の導入により可能となりました。今後に活かせる測定結果を得るため、目的の明確化やモニターの設置場所の検討などの正しい流れを採用することが大切です。
効果測定は、年齢や性別など視聴者の属性や通行人数など、集計する項目をあらかじめ定めて取り組みましょう。