ローコード開発の価格は？ノーコード開発との違いやデメリットを紹介

更新日：2025.03.26

「システム開発に時間もコストもかかりすぎる…でも自社でエンジニアを大量採用するのは難しい…」とお悩みではありませんか？

近年、プログラミング未経験者や非エンジニア層でも、比較的容易に開発が進められる「ローコード開発」が注目を集めています。画面上の操作や最小限のコーディングで開発を進められる点が特徴です。

人材不足や予算の制約に直面している企業にとって、柔軟なシステム構築を可能にする手段として、ローコード開発は急速に普及しています。本記事では、ローコード開発の定義やメリット・デメリット、主要ツールや外注の価格相場までを総合的に解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

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ローコード開発とは

ローコード開発は、最小限のプログラミングでアプリケーションを開発する手法です。視覚的な開発インターフェース（GUI）や、あらかじめ用意されたコンポーネントを活用し、開発効率を大幅に向上させます。

ドラッグ＆ドロップなどの直感的な操作で画面やワークフローを構築できるため、プログラミング経験が少ない人でも開発に参加しやすいのが特徴です。また、多くのツールがデータベースやAPI連携機能を備え、業務に適したシステムを柔軟に構築できます。

開発スピードの向上、コスト削減といったメリットがあり、企業のDX推進を加速する手段として注目されています。

ノーコード開発との違い

「ローコード開発は「最小限のコーディング」によって自由度を高める一方、ノーコード開発は「一切コードを書かず」ビジュアル操作のみでアプリケーションを構築する手法です。

ノーコードではドラッグ＆ドロップを中心とした直感的な操作で、初心者でも容易に基本的な機能を構築可能です。しかし、複雑な仕様変更や高度なロジックの実装には限界があります。

一方、ローコードはあらかじめ用意されたテンプレートやコンポーネントを活用しつつ、必要に応じてプログラミングによって機能を拡張できる点がメリットです。

そのため、ノーコードに比べて一定のプログラミング知識が求められるものの、より複雑な要件に対応しやすく、開発後の拡張性や保守性を確保しやすいという利点があります。

ローコード開発が注目される理由

ローコード開発が急速に注目される背景には、エンジニア人材不足や開発スピードへの要求が高まっている現状があります。

従来のプログラミング中心の開発では、専門スキルを持つエンジニアの確保が必須であり、要件定義からテストまでの工程に多大な時間とコストを要するのが一般的でした。しかし、ローコードツールを活用すれば、画面操作やテンプレートを用いて非エンジニアでも短期間でアプリを開発でき、必要に応じてコードを追加することで機能拡張が可能です。

さらに、事業環境の変化が速い現代では、開発サイクルを短くして市場へ早く投入する「アジャイル型」な手法が求められています。ローコードは、少ないリソースで最小限の製品を作り、ユーザーの反応を見ながら改善を繰り返すフローと相性がよい点も普及を後押しする要因の一つです。

「ローコードが注目される背景には、どんなデジタル活用事例があるのか？」と気になる方は、下記の事例紹介もご参照ください。

【関連記事】ローコード開発が注目される理由を事例でチェック

ローコード開発のメリット・デメリット

ローコード開発はシステム開発の効率化を大幅に進められる一方で、注意すべき点や制約もあります。ここでは、ローコード開発のメリットとデメリットを挙げ、それぞれ詳しく見ていきます。

開発コスト・期間の削減
高度なシステム開発が可能
ある程度のプログラミング知識が必要

開発コスト・期間の削減

ローコード開発の最大のメリットが、開発コストや期間を大幅に削減できる点です。従来のプログラミング手法では、要件定義から実装まで多くの工数が発生し、専門人材を多く抱える必要がありました。

たとえば、一般的な業務システムをフルスクラッチで開発する場合、数百万円から数千万円の費用と数ヶ月から1年以上の期間を要することがあります。

しかし、ローコード開発ではテンプレートやビジュアル操作を基本とするため、開発初期段階から完成度の高いプロトタイプを迅速に構築できます。これにより、仕様変更や追加要件にも柔軟に対応でき、開発期間とコストを大幅に削減可能です。

たとえば、同じ業務システムをローコード開発する場合、数十万円から数百万円の費用と数週間から数ヶ月の期間で開発できる可能性があります。

高度なシステム開発が可能

ローコード開発は、高度なシステム開発にも対応可能です。たとえば、ユーザー管理やデータベース連携、外部APIとの統合など、企業の業務を支える本格的な機能を搭載できるツールが多数あります。

テンプレートを活用しながら、必要な部分にコードを追加することで、高度な要件にも柔軟に応えられるのがローコードの強みです。さらに、大手クラウドベンダーが提供するローコードプラットフォームでは、セキュリティや拡張性、サーバーレス対応など機能が充実しています。

バックエンドとフロントエンドを統合的に管理でき、複数拠点や海外ユーザーにもスムーズなサービスを提供できる環境が整っています。要件が大きく変更された場合でも、プログラム部分をピンポイントに修正するだけで済み、用意にスケールアップできる点もメリットです。

ある程度のプログラミング知識が必要

ローコード開発を最大限に活用するには、一定レベルのプログラミング知識が不可欠です。ノーコード開発とは異なり、ローコード開発では「最小限のコード記述」が求められます。

基本的な概念（変数、関数、オブジェクト指向など）を理解していないと、テンプレートでは対応しきれない細かな処理やエラー対応で行き詰まる可能性が高いです。また、ツールごとに独自のスクリプト言語や拡張APIが用意されている場合もあり、初めて触れるプラットフォームでは学習コストが発生します。

社内にプログラミング経験者がいない場合は、外部に相談できる体制を整え、学習リソースを確保し導入を検討するとよいでしょう。

ローコード開発に使える主なツール

ローコード開発を始める際には、目的や予算に応じて最適なツールを選ぶのが重要です。ここでは、代表的なローコードツールを4つ紹介します。

Pleasanter【無料】
Hubspot【無料】
Kintone【有料】
Lightning platform【有料】

それぞれの特徴や得意分野を理解し、自社のニーズに最適なツールを選定しましょう。

Pleasanter【無料】

Pleasanter（プリザンター）は、オープンソースとして公開されているWebデータベース型のローコード開発ツールで、インストールするだけで無料で利用を開始できます。ユーザー数や機能に制限はなく、チームでの情報共有や共同作業に最適です。

Excelのような直感的な操作感でテーブル作成やデータ管理が可能であり、CSVやExcelファイルのインポート・エクスポートにも対応しています。タスク管理や情報共有システムといったシンプルな業務アプリケーションであれば短時間で構築できます。

無料でありながら十分な機能を備えており、必要に応じてソースコードを追記することで高度なカスタマイズも実現可能です。

中小企業やスタートアップ企業など、コストを抑えつつ本格的な業務システムを構築したい場合に向いています。有料ですが充実したサポートサービスも提供されており、安心して利用できるでしょう。

Hubspot【無料】

HubSpot（ハブスポット）は、世界で20万社が利用するCRMプラットフォームです。マーケティング、セールス、カスタマーサービスなど、企業の成長を総合的に支援する多彩な機能を備え、日本でも多くの企業に導入されています。

HubSpotは5製品をベースとしており、Marketing Hub、CMS Hub、Operations Hubがローコード開発機能を提供します。ドラッグ＆ドロップの画面設計やワークフロー作成により、コード不要で顧客管理やメール配信システムを構築可能です。

API連携やスクリプト挿入にも対応し、豊富なデータベースやマーケティングツールと連携。顧客情報を一元管理し、営業・サポートプロセスを自動化することで、生産性向上と顧客満足度向上に貢献します。

AIによる業務サポートも特徴で、タスク自動化、コンテンツ改善、Webサイト作成、ワークフロー自動化を実現します。

Kintone【有料】

Kintone（キントーン）は、サイボウズ株式会社が提供するビジネスアプリ構築プラットフォームで国内企業を中心に広く導入されています。直感的な操作でアプリを構築できるため、専門的なプログラミング知識がなくても業務に合わせたアプリを作成できます。

また、JavaScriptを使用することで、独自の業務フローに合わせた高度なカスタマイズも可能で柔軟性が高く評価されています。有料版では、大容量のデータ保存や外部サービスとの連携の強化が図れるほか、手厚いサポート体制も整っています。

また、豊富な拡張プラグインが用意されており、メール通知やグラフ表示といった一般的な機能を簡単に追加できるのも魅力です。導入を検討する際は、サポートや機能拡張を含めたトータルコストを見積もることが重要です。

Lightning platform【有料】

Lightning Platform（ライトニングプラットフォーム）は、Salesforceが提供するクラウド型のローコード開発プラットフォームです。高度なCRM（顧客関係管理）機能やAI（Einstein）との連携など、企業規模を問わずビジネス効率化に貢献する豊富な機能を備えています。

さらに、独自のApex言語を使用することで、高度なカスタマイズが可能であり、グローバル企業や大規模プロジェクトでの導入実績が豊富です。セキュリティと拡張性の側面でも高く評価されていますが、有料ライセンス費用が比較的高めに設定されているため、中小企業にとっては導入の障壁となることがあります。

しかし、Salesforceのエコシステムを活用することで、サードパーティ製ツールやコンサルティング企業と連携し、運用面の強化が可能です。

ローコード開発外注の価格相場

ローコード開発外注を依頼する際は、費用面の確認が重要です。開発の規模や複雑さによって費用が大きく異なるため、事前にしっかりとした見積もりを立てる必要があります。外注時に発生する費用項目について、具体的に見ていきましょう。

初期導入費用
月額利用料金
カスタマイズ費用

初期導入費用

外注でローコード開発をおこなう場合、ツール選定、ライセンス契約、環境構築などの初期導入費用が発生するのが一般的です。具体的には、クラウドサービスのアカウント開設費用や設計フェーズでのコンサルティング料、基本的な画面レイアウトの作成などが含まれます。

初期費用は使用するツールや機能の規模、要件定義の複雑さによって異なりますが、小規模案件で数十万円、大規模な企業向け案件では数百万円以上となることもあり、目安としてとらえるとよいでしょう。

導入後にスムーズな運用が実現できれば、長期的にシステムコストやメンテナンス工数を削減することが可能です。そのため、初期コストだけでなく、総合的な投資対効果を評価することが重要です。

月額利用料金

ローコード開発ツールの月額料金は、機能範囲やユーザー数に応じて段階的に設定されます。料金には、開発環境の利用料、クラウドサーバーのホスティング料、サポートサービスの費用が含まれるのが一般的です。

価格帯は数千円から数万円、大規模企業向けには数十万円に達することもあります。料金体系には、月額固定制、従量課金制、アプリ単位などさまざまです。プラットフォームによっては機能範囲やデータ量に応じた複雑な設定があるため事前の確認が大切です。

外注する場合、ライセンス費用が上乗せされるか、独自プランが提供されることがあります。プロジェクトの進行に伴い、ユーザー数や機能の増加で料金プランのアップグレードが必要になるため、初期見積もりの段階で将来の拡張性を考慮することが重要です。

カスタマイズ費用

ローコードツールの標準機能では対応できない特殊な要件や、追加のデザイン・ロジックが必要な場合には、カスタマイズ費用が発生します。具体的には、アプリケーションの動作を独自コードで制御したり、外部サービスとの連携APIを構築したりなど、エンジニアの作業が増えるほどコストが増加します。

大規模なプロジェクトでは、要件定義段階で見積もりを作成していても、運用中に新たな機能追加や仕様変更が発生する場合があります。その都度カスタマイズ費用が積み重なる可能性があるため、プロジェクト管理や要件の優先順位付けが重要です。

小規模な機能拡張であれば、追加コストを抑えられる場合もありますが、発生する作業の単価や納期を事前に確認する必要があります。

ローコード開発を外注する際のポイント

ローコード開発を外注する際は、ツール選定に加え、開発会社の実績やサポート体制をしっかり確認する必要があります。ここでは、ローコード開発を外注する際のポイントを解説します。

開発実績が豊富にある
求める機能・システムに対応している
サポート体制が充実している

自社のニーズに応じた機能を実現し、運用後も安心してサポートを受けられる体制を整えることが大切です。

開発実績が豊富にある

外注先を選ぶ際は、開発実績が豊富かどうかを確認することが重要です。ローコード開発といっても、開発会社によって得意とするツールが異なるため、実際にどのようなプロジェクトを手掛けて成果を上げてきたのかを調べることがポイントです。

公式サイトの事例紹介や導入企業一覧を参考に、自社と類似した業種や規模の案件があるかどうかを確認するとよいでしょう。また、問い合わせ時には、具体的な導入事例や成功事例を提示してもらい、導入後の運用イメージを詳細に把握することが大切です。

実績が豊富な開発会社は、様々な状況に対応してきた経験があり、予測できない課題に対しても適切な解決策を提供できる可能性が高いです。開発過程で発生する問題に迅速かつ効果的に対処し、スムーズなプロジェクト進行を実現できるでしょう。

求める機能・システムに対応している

ローコード開発を外注する際は、求める機能・システムに対応しているかを確認しましょう。ローコードツールにはさまざまな種類があり、複雑な業務フローや大規模なデータ処理を必要とするシステムの場合、特定のツールでは対応しきれない可能性があります。

外注先を選ぶ際には、あらかじめ自社が求める機能やシステム要件（データベース連携やAPI連動など）に対応可能か確認しておきましょう。

複数のローコードプラットフォームを扱う会社の場合、要件に合わせて最適なツールを提案してくれる可能性があります。しかし、特定のツールしか扱わない開発会社の場合、要件をツールに合わせて変更する必要が生じるかもしれません。

カスタマイズの自由度、連携サービスの有無、開発会社の技術力などを総合的に評価し、システム全体を見渡した上での判断が大切です。

サポート体制が充実している

ローコード開発を外注する際は、サポート体制が充実している開発会社を選ぶことが大切です。ローコード開発は比較的導入しやすい一方で、運用中にはツールのアップデートや不具合対応、新機能の追加などさまざまなサポートが必要になることがあります。

そのため、迅速な問い合わせ対応や専任スタッフの有無、バージョンアップ時のトレーニングや資料提供などが充実しているかを確認しましょう。また、運用後に発生するカスタマイズやトラブルシューティングに対する対応のコストやスピードも重要なポイントです。

契約期間やメンテナンス費用の詳細を事前に確認し、長期的にトラブルなく使用できる仕組みを確保することが大切です。サポート体制が整っている企業ほど、担当者との円滑なコミュニケーションが期待でき、開発後も安心して事業を展開できます。

複数の開発会社を比較検討する際、サポート体制の差は意外に大きいものです。詳しくは下記の記事も参考にしてください。
【関連記事】サポート体制が充実している会社の特徴を比較

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まとめ

ローコード開発は、少ないコーディングでアプリやシステムを効率的に構築できるため、開発スピードと柔軟性を両立する新しいアプローチとして注目されています。

ノーコードと異なり、必要に応じてコードを追加できるため、企業の多様なニーズに対応できるのも魅力です。ツールや外注先を選ぶ際は、導入費用やサポート体制、機能要件がしっかり適合しているかを総合的に判断することが重要です。

最適な外注パートナーを選ぶことで、限られたリソースで大きな成果を上げることができます。